あれは、たしか、3年前の2月だったかと思う・・・。
その日会社から帰ったら、リビングの熱帯魚の水槽から、
なにやら凄惨な空気が漂ってくる。
・・・悪寒が走った・・・。
おそるおそる水槽を観る・・・。
すると水面から白い煙がゆらゆらと昇っている。
不思議な光景だ・・・。
ミスト発生器なんか入れた覚えはないのに・・・これは湯気か?
なぜだろう・・・。
よく調べると、水中にあるはずの温度センサーが外に出ていた。
このとき暖房は切ってあり、室温は20℃未満。
・・・これは、当時幼稚園児だった娘の友達たちの仕業だ。
サーモセンサーが外の室温に反応している。25度まで上げようと、水中のヒーターは一生懸命、水槽の水を暖め続けたに違いない。
・・・ごくり・・・それで湯気か・・・。
ゆっくりと水中を見渡してみた・・・。
うっ悲惨・・・生存者はいない・・・「大殺戮」。
これは我が家の歴史の中でも最も悲惨な部類の事件であった。
その後、私は事件のことを忘れようと必死だった。
大型プラズマTVを変わりに置こうか・・・。
ちょっとした思い付きだった。
当時は日立のwoo32インチが47万円だった。
ふと、子供の頃、大型カラーテレビを買ってきたときの親父の大きな背中がとてもまぶしかったのを思い出した。
これもトラウマというのか。
そのせいでか、私も無理して3年ローンで、32インチのプラズマテレビを購入し、60cmの水槽のあった場所に1mのテレビを置いた。ソニーファイナンスの月賦で55万円は払った。
今年ローンも終わり、子供が買いたいと言ってくれたのを機に、30cmの小さな水槽を購入、ガージナルテトラ、パンダコリドラス、クーリーローチで3年ぶりの熱帯魚の水槽が復活。
夜間はブルーのLEDで水面が天井に反射する。かすかな水音は、マイナスイオンとともに、私を心地良い眠りへと誘う・・・が、しかし、うとうととしかけたところを「ちょっとぉ!水の音がうるさくて眠れないんだけどぉっ!」という、嫁の苦情でおこされる・・・。