創部感染治療の記録

・・・なんという不運・・・男41歳・・・ど本厄とは、これほどまでやられるのか・・・創部感染症の合併症! 確率は恐らく100人に1人? 東京女子医大では「2年ぶりかなぁ・・・」と若い看護士に云われました・・・。

傷の下の方を5cm程度開いたのがこれです。このぱっくり開いた傷の中に痩孔(ロウコウ)が2箇所。お腹に向かって4cmと背中に向かって6cm位の孔(アナ)があります。泌尿器科では入院中は毎日2回朝晩、傷を見て消毒していました。傷から出る浸出液を吸い取るように(タンポナーゼ)ロウコウにもガーゼをピンセットで差込み、そしてガーゼを当てます。このとき半日でガーゼの表面に浸出液が染み出してきます。表面はアブラ取紙でガードしてテープ止め。ちなみに入院中はこれで一日5000円です。通院で同じ治療は210円です。

通院するようになって困ったのは泌尿器科の待ち時間です。わずか210円のガーゼ替えの治療に2時間待ちは当たり前・・・ 人間ドックを受けた三井ビルクリニックでそんな不満を言ったら、その場で東京女子医大の形成外科の教授宛の紹介状を書いてくれました。 東京女子医大の泌尿器科から形成外科に移るのに街場のクリニックの紹介状というのが少し笑えませんか? そして、形成外科の教授はまず ゲーベンとオキシドールでまず雑菌を殺すことから始めようと言った。

治療は写真のように、オキシドール消毒のあと、ゲーベンクリームをロウコウに綿棒で塗っていくだけ。しかし、ネットで見た夏井先生の新しい創傷治療をはじめ、ゲーベンクリームは悪名高い。 かなり抵抗があったので教授に聞いてみたが、デブリード(感染・壊死した細胞を取り除くこと)は重要でゲーベンにはゲーベンの良いところもあるとか ・・・夏井先生の湿潤療法をどう思うかと聞いたら、自分でためしても良いとのことだった。ただし、ロウコウを残したまま傷口が閉じるのはあまりよろしくないかも (中を縫っている手術糸が感染して残る場合もあるので)とのことだった。最初の2日くらいゲーベンを使ったが、自分としては確信的にそれ以上ゲーベンを使うことを やめた。

自分としては、当時、夏井先生のWEBをみて、ラップ療法を試してみたかった。傷の上から貼ったのは、三角コーナーで使う生ゴミ用のビニールである。穴の開いているあれだ。適度なサイズにカットして、綿テープで押さえる。浸出液を適度にためながら、穴から滲み出したものを・・・ガーゼか・・・コストパフォーマンスを考えて・・・↓

これだ。ちょっと抵抗があったが、吸収力とコストから、女性用のナプキンが最もいいことに気づいた。ガーゼだと、分厚くなるし、Yシャツに染み出る場合もある。難点は、Yシャツ側に引っ付いてしまうことだ・・・(笑)。
そして、これを見た教授は、診察室に、周りにいた若い先生達を集めて、「臨床の場で患者さんから学ぶことが沢山ある」というようなことを言っておられました。すこし恥ずかしかった。

傷口を早くくっつける様にと、写真のような市販の商品を買ってみた。

 

この頃だいぶ浸出液も減ってきたので、ラップ療法は市販のものを使うことにした。これなら明日からの会社生活もだいぶQOLが上がる。ナプキンじゃ剥がれて落としたりしたら恥ずかしいし、気が気じゃない面もあった。

消毒しようと思ったら、なんと、ロウコウが無くなっていた・・・写真のように肉芽が盛り上がってきていた。浸出液はまだ結構出ている。

一度閉じた上のロウコウから膿が出て肉芽が飛び出てきた。真ん中のロウコウは完全に閉じて傷も平らになってきている。上下から閉じようとしているようだ。

傷口が全体に赤みを帯びてきた。

湿潤療法の実験ついでに、市販のバンドエイドのキズパワーパッド(大判)を貼ってみたら、翌日、赤みが消えてきた。浸出液も無色透明無臭で僅か・・・。

浸出液が出なくなってから、スキントンテープ(住友3Mのマイクロポア)を形成外科で勧められた。貼り方は下の図のように、25mm幅のテープを40mm~50mmの長さに切って、3分の1を重ねながら(重ねるのは剥がす時に一気に剥せる様にするため)、傷が広がらないように引付けて貼っていくだけ。傷口は紫外線を受けると黒ずんでしまうので、それを防止する目的と、傷の瘢痕が広がるのを防ぐのに、半年くらい以上は、やっていた方が良いということだ。帝王切開のあとの妊婦にもお勧めだそうだ。

さらに半月後、スキントンテープの効き目か、傷あとの瘢痕が薄くなってきたようだ。

以上、記憶を思い出しながらなんとか書き留めてみた。参考になれば幸いである。

©2009年2月。